職場での人間関係にストレスを感じている人は実に多く、とくに上司や先輩に対しての悩みがほとんどです。
いくら考えても変な話です。ただでさえ仕事のやり方が解らないのに、どうしてそれを教えてくれる人について悩まなければならないのでしょう。
それにはちゃんとした理由があります。今回はさらに掘り下げて、その原因と対策について解説します。
その先生は仕事は知っていても教え方を知らない
一番の問題は結果的に他人に自分の時間を奪われていることです。仕事中だけならまだしも、職場から出てもイヤな気分は消えず、プライベートもストレスを抱えたまま過ごすことになります。
家に帰ってもグッタリ。さらにネットで自分と同じような事で悩んでいる人の事例を探して共感してみたり、いい迷惑なのに家族や友達にグチを聞いてもらったりと、本当はやらなくてもいいことに時間を使って、結局は何をやってるのか分からずに一日を終えてしまっていることでしょう。
なぜこのようなことはが起こるのか。
その理由はその先輩も上司も「人に物事を教える技術」を知らないからです。仕事は知っていて、その事を伝えることは出来ても、上手に後輩に教えられるかは別問題。
そもそも教える方も新人や後輩が成長すれば、自分の仕事も楽になり、会社にとっても有益なことなので無駄に怒ったり、イヤな態度なんかとったりしてる場合ではないはずです。これを言い換えれば自分の教え方が悪いのをあなた方のせいにしているのと同じであって、逆に「もっと勉強しなさいよ!」と言いたくなるほどです。
…と悪口を言えばキリがないので、ここでキッパリと考えを変えましょう。相手のペースにハマっているようでは、あなたも同じようなレベルにいるということです。イヤですよね(笑)
さあ!ここからがあなた自身の課題です。
前に進みましょう!
問題に直面したらどこに原因があるのかを見極める!
原因がわかればその対策を考えることが出来ます。前々からお伝えしているとおり、変えられないことに時間や労力を使っているほど人生は永くないのです。相手を批判して責めることより、自分が前に進むことに集中しましょう。
具体的には説明しにくいのが正直なところですが、必要な考え方が次の点です。
- 会話をしていて、あなたがイヤに感じる言葉は聞き流す
- あいてと自分を上下関係と思わない
ここであげたことは相手のことは考えず、自分中心で物事を理解する意識の持ち方です。あなたの人生、あなたの仕事はあなたが操作します。
こんなことを言うと罪悪感を感じたり、なんだか相手を利用してるとか、軽くみているようでイヤに感じる方もいると思いますが、それは大丈夫!そもそも相手はあなたのことを考えてないし、あなたが成長したら仕事で恩返しすればいいだけです。今はとにかく前に進み、自分の目的を達成することに意識と行動を集中させましょう。
それでは今回の物語へ。
人間関係の悩みを抱える若者はいよいよ本格的に教員たちの指導を受けていきます。
第二幕のテーマは「心構え」。心と技の両立の必要性を教員「マフ教」が語ります。ぜひ読者様も一緒にお考えくださいませ。
物語 みんなの学び舎大企業 人間関係の章 第二幕
「サダリの番人」
企業内学校である定入学園。教員「マフ教」こと枦野真冬は同僚や生徒達から陰でそう呼ばれている。
彼女はとにかく自分にキビシイ「ミス・ストイック」。絵に描いたようなキャリアウーマンである彼女は社内での経歴も長い。
もちろん、そんな彼女も新人の頃はふつうの若者と同じで人間関係に悩んだり、仕事で失敗したことも多くある。
その原因となったは、あまりにも強い責任感。
強すぎるがゆえ、しだいに周囲から仲間が消えていき、いつしか孤立するようになった。公私ともに…
幸いにして学園が設立された当初、その責任感からくる指導力とそれまでの経験が評価されて教員に選ばれて今にいたっている。
こころが強くで孤独な者。
こころが弱くて孤独な者。
その両方を知り、皆に警笛を鳴らすし続ける。それが同社の守りびと「サダリの番人」と彼女が言われる由縁である。
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入社式のあった次の日。
ムクは学園内にあるマフ教の事務室にいる。ここが本日の教室。
室内はスッキリと片付けられている。
ふたりは対面で座ると先にムクから話始めた。
ムク「きのう新入式での蕾(ライ)先生のお話…ちょっとビックリしました。あまりにも説明が少なすぎて…」
マフ教「そうね。…でははじめましょうか。」
相変わらずの愛想のなさで今日もマフ教の講義が始まった。
マフ教「これから3か月間。この学園であなたには我が社での仕事のやり方をあらためて学んでもらって、ある程度の合格ラインに達したら卒業。また部署での業務に戻ってもらうことになります。」
ムク「…またあそこへ戻るんですか。大丈夫かな…」
マフ教「他の部署に行ってもいいけど、出来れば戻ってもらった方がこちらとしてもありがたいわね。どのくらい成長したかもお互いにわかりやすいでしょ。」
ムク「そうですよね…でも3か月間でいったい何を学ぶんですか?仕事のやり方?」
思い出したように不安を全面に表しながらムクは目の前の無表情面に続けて問いかける。
ムク「仕事が出来ても、仕事にならない状況なんです!…あの人たちがいたら、私は本当のチカラを出せません!」
マフ教「…」
ムク「一生懸命に毎日やってるのに!…なのに悪く言われたりして…ジャマするみたいに!…もう私のプライドはズタズタなんです!」
マフ教「……プライド…」
興奮状態のムクのセリフをただ冷静に聞いていたマフ教がこのワードにようやく反応した。
マフ教「…そう。…わかったわ。説明ありがとう。」
ついに泣きだしたムク。それにはかまわずマフ教が続ける。
マフ教「2つわかってことがある。
1つ目は残念ながら、あなたのその思いと苦労は業績として何の結果も残せていないこと。
そしてもう1つはあなたが身をもってこの問題を経験できたこと。」
またしても自ら分析したことを語りだしたマフ教に対して、ムクは涙を腕で拭いながら興奮をおさえて話を聞いた。
マフ教「すべてあなたの課題ってことね。」
この一言にムクはまた激情する。
ムク「えっ⁉︎…わたしが悪いって言うんですか!
…じゃあ、あの人たちはどうなるんです⁉︎
…わたしは何も悪いことはしてないし!」
叫ぶように訴えかけるムクを尻目にマフ教は冷たく問いかける。
マフ教「…ハッキリ言うわ。
ワタシならアナタのようにはなってない。
たとえ彼女たちに同じ態度をとられていたとしても。
必ずそれを乗り越えて、何らかの実績を出してるわね。」
マフ教の言葉に対して、さらに感情をあらわにするムク。
ムク「それは先生がもともと強い人だからです!
ふつうはあんなにベテランで、態度も大きい人たちを相手に強気で向かっていける人なんてそうはいませんよ。」
ムクはそう言うと、マフ教は静かにまぶたをとじ、室内に沈黙が漂った。
しばらくして目を閉じたままのマフ教が語りだす。
マフ教「ワタシとアナタの違い…それは決意よ。
ワタシは自分が何かの行動を起こす以上、必ず結果を出す。自分のために。そして会社や世の中のために。
それがワタシのプライドだからよ。」
そう言って目を開いたマフ教は一点をにらむように見つめて話を続ける。
マフ教「そもそも、会社やその従業員は利益を得るために仕事をしてるんでしょ。
それなら不利益なことに時間やチカラをそそぐのはムダじゃない?
たしかに、アナタのように思いもよらない障害に直面することもあるから、一時的に落ち込んだりすることもあるけど、
この世で行動する上でリスクはつきもの。
だからその時に自分がどうにか出来ることと、出来ないことを見極めるチカラと行動力、そして自分の目的に達するための集中力を持つことが大切よ。」
ムク「…プライド…行動力…集中力。
たしかに今のワタシはどれもベテラン達に勝てないかもしれない…」
マフ教「今は当たり前でしょ。経験に勝るものはない。
それにさっきも言ったとおり、アナタが今回の悩みや問題点を体験できたことはとても大きいし、これも経験でしょ。
アナタは知らなかっただけ!この経験をいかして次の世代へ繋げていくことが重要だとワタシは考えているわ。」
ムク「はい!」
ここまでのマフ教の話をきいて、かなり納得できたのか、ムクは大きくうなずいた。
ムク「でも先生はやっぱりスゴイですね。精神力というか…物事を論理的かつ合理的に考えられるのもそうですが、
あんなに”イバってる人達”とか”イヤな人達”って気になってたりしないんですかぁ?」
マフ教「ぶん殴りたいぐらい大キライよ。だから何とかしたくてアナタに教えてるんでしょ。」
「サダリの番人」はとびきりの笑顔で答えた。
まとめ
今回もここまでお読みいただきましてありがとうございました。それではまとめに進みます。
- 悩み、ストレスはアナタの時間をうばう。
- “仕事を知っている人”が”仕事を教える能力”を持っているとは限らない。
- 仕事仲間→いっしょに”利益”を求める仲間
- 悩みや問題には必ず原因があり、原因がわかればその対策も必ずある。
- 人から認められ、人の役に立つプライドを持ちましょう。
それではまたお会いしましょう。
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